大判例

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東京地方裁判所 昭和37年(ワ)5818号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事事と判断〕原告は、原告株式会社はその代理商である訴外泰平物産株式会社は昭和三六年九月二七日原告の代理人として振動篩二台を代金一一八万円で売却する契約を締結し、その引渡を了した。よつて原告は被告に対し右代金の支払を求める、と述べた。

被告は訴外会社が原告の代理商であるとの点を否認し、かりに訴外会社が原告の代理人として原告主張の売買契約をしたとしても、訴外会社に右契約締結のさい原告の代理人であることを表示せず、被告もこれを知らなかつたから、商法第五〇四条但書により被告は本件売買契約は右訴外会社との間に成立したものと主張する。しかして被告は右訴外会社に対する手形金債権合計一五〇万円と右売買代金を対等額で相殺したから、原告の請求は理由がないと抗争した。

判決はつぎのように説明して被告の抗弁を採用した。曰く。

「被告は、訴外会社が本件売買契約を締結する際原告の代理人であることを表示せず、被告もこれを知らなかつたものであるから、右契約の効果は原告には及ばないと主張するので判断する。商法第五〇四条本文はいわゆる非顕名主義を採用しているとはいえ、同条但書を考慮するときは結局民法第一〇〇条と同趣旨のことを記載し、ただ立証責任の転換あるに過ぎないものと解するのが相当である。したがつて、買主である被告において本件取引が原告主張のような代理商取引とは知らずまたこれを知らざるに過失なかりしことを立証し得ないときは、右訴外会社に対しても本取引の効果を主張し得るものといえる。よつて本件についてみるに、……によれば被告は全く訴外会社との直接取引と信じて本件取引に出たこと、本件注文書などには訴外会社が原告の代理商であることをうかがわせるに足りる記載が全然ないし、ただこれに横山工業製の文字の記載されてあるものはあつても、それは単に製造元の指定の趣旨に外ならざることが認められ、――中略――さらに証人長悟の証言によれば訴外会社は取引の信用や体裁上、ことさらに代理商と思われたくなかつたことなどを認めることができ、この事実からすれば被告は訴外会社が代理商でないと信じ、またかく信ずるに過失なかりしものといえる。」(立岡安正)

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